前回のブログ(304)で、「mRNAとはなんぞや?」ということを説明したんですが


今回はその先にある「mRNAワクチン」のことについてお話しようと思います。

でもその前に、これまで私たちが接種してきた「従来型」のワクチンについてついて少し。

従来型ワクチンは、大まかに分けると2つに分類できて

①ウイルスや細菌といった病原体の病原性を弱毒化(無毒化)した「生ワクチン」のタイプと、② 病原性(毒性)除いた病原体やその一部分を使う「不活性化」タイプがあるんですが…

…うーん、こんな定型文的な説明ではなんか堅苦しい(汗)。

もう、超大雑把に「従来型」の説明をするなら、「従来型ワクチン」は(主に)「病原体のタンパク質」ってことです。(注:弱毒・不活性化病原体の場合、タンパクだけでなく病原体そのものを接種します)

つまり、「従来ワクチン」と「新規mRNAワクチン」の違いは、

「タンパク質 VS 核酸(mRNA)」となります。

これを更に簡単に表現するなら、

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って感じですかね(笑)

さて、このお料理された状態の「従来ワクチン」ですが、どうやって調理されるかと言うと、まず病原体が細菌の場合は「培養液」の中で作られます。そしてコロナのように寄生が必要なウイルスの場合は宿主が必要なので、「卵」や「動物」、「遺伝子組み換え細胞」等の中で作られることになります。つまり、お料理ができるには「生きてる材料」が必要となり、結構な「調理時間(培養時間)」も掛るということです。

今回のように世界中で大量に「ワクチン」が必要になった時は、これらの「材料」を大量に確保するのが大変です(卵でつくるとしたら、すごい数の卵ですね。インフルワクチンはこの方法だったりします)。また「生ワクチン」以外は、必要なお料理の一部(抗原部分)を精製する必要があるので、精製の過程でわずかに原材料が残留する可能性もあります。卵で作る場合など、重度の卵アレルギーの人は気を付ける必要があるようですね(アレルギーはmRNAワクチンでも問題になってますけど、この話はまた次回に)

 

一方、

印刷物(レシピ)である「mRNAワクチン」は、「生きている材料」に頼らない人工合成物です。

これを、ざっくり表現するなら(笑)、原本になるレシピをもとに、紙(バッファー)とインク(ヌクレオチド)とプリンター(転写酵素)があれば、いくらでもレシピが大量に印刷できるってことなんです。

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そしてもう一つ、印刷されたレシピがワクチンとして働くために重要な材料があるんですが・・・

それはレシピを体の細胞に届けるための「カプセル」(脂質)。これも簡単に言うとラッピング包装紙のようなものかと(笑)もちろん、これも合成物です。

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ということで、

RNAワクチンは、生きてる材料(細胞等)を介さず、印刷・包装して作り出されるので、長い培養時間は必要なく、材料のバラつき(卵や動物ではありえる話)や材料確保が問題になるということが(ほぼ)ないという利点があるかと。 

理論上では、時短・大量生産できるmRNAワクチンですが・・・今現在、mRNAワクチンの供給が大幅に遅れているようです(汗)その理由は…

長くなったので、続きは次回に!