前回の続きです。


ありえない不運が重なり、携帯も水もない状態で自宅のベッドルーム(3階)に一人閉じ込められてしまいました。

夫はフランスに行っており3日後まで帰ってきません。

夫の帰りを待っていたら…確実に死ぬな。

 

さて、どうしよう・・・

パニックになっても体力を失うだけ、夜になりつつあり(午後7時くらい)ヘタをすると、明日の朝までの長期戦になるかもしれない。まずは冷静になって、対処方法を考えてみることに・・・

 

私が一番に試した脱出方法その①は、

ドラマみたいに(笑)、「針金で鍵を開けてみる」作戦です!

・・・

・・・まあね(汗)

普通、針金なんて都合のいいものは寝室には転がっていないものです(愕)

奇跡的に(?)針金を発見できたとしても、一般人に「針金で鍵を開ける」なんて芸当はできません(てか、やったことないし。)

ただ、このままなら脱水症状で倒れ、明日には死んでしまうかもしれないと切羽詰まった精神状態になると、「針金があればドアを開けれる」と思えてくるので不思議なものです(血迷ってるとも言う)

そこで、部屋中の「針金の代用品になるもの」を隈なく探してみました。

ただ、今は引っ越しの最初の段階、ほぼ空っぽの部屋にあるのは数個の段ボールの中に入った衣類とベッドシーツのみ・・・これらは使えない(とほほ)

さらに視野を広げ、部屋全体を見回すと・・・

代用になりそうなもの一つだけ発見!

それは、前の住人が額縁を飾るために壁に打ち込んだフックタイプのネジでした。

これL字形だし、針金よりも鍵穴を開けられるかも!と期待が膨れ上がります!

・・・でもね、

このフックは頑丈に壁にねじ込まれていて、素手では抜けてくれませんでした(涙)もちろん、ネジ抜きのような便利な道具が寝室にあるわけでもなく・・・

作戦その①は、ほどなくして終了です!

結局、ネジを強く引っ張っるのに奮闘し指の力をかなり消耗して終わりました(がっくり)

 

脱出作戦その②

映画やドラマみたいに(笑)「ドアを打ち破る!

映画では、閉まっているドアに体当たりしたり、蹴りを入れて、ドアを開けるシーンって出てきますよね。ドアに体当たりして体を打撲するのは嫌だけど(痛いのは嫌)、全力でドアを引いたら開くかも!と安直な考えが浮かびました。

・・・・でもね、このアパートは4年前にできたばかり、安っぽい割に(笑)ドアは頑丈に作られていて、押しても引いてもびくともしませんでした(涙)

また、ドアノブを押したり引いたりしてドアノブ部分が少しずつ緩んで取れてくれないかなと期待もしたのですが・・・鍵が掛かったことにより、完全固定されて、回せない!

緩んでいく隙間が無いので、ドアノブの破壊も難しそう(涙)

こうなるとドアは諦めて、ドアフレームごと壊してみよう!

・・・と、試みたのですが、ドアと接している内側のフレームは、隙間から見えた部分だけでも、3本の釘で壁(コンクリート)に固定されています。私の持ち得る最大限の力で押しても、全くびくともせず。

・・・鍵の掛ったドアを物理的に壊すのは無理だと学びました。

ドアの前で数十分ほど奮闘したので、作戦②は私の体力をかなり消耗して終了です(涙)

 

作戦その③

窓から大脱出!

ここは3階、窓から飛び降りて脱出することはできません。

でも、映画みたいに(またです!)ベッドシーツをロープみたいにして、外へ出ることはできるかも!

では、ロープを固定する場所はどうしよう…

・・・うん、見当たらないな。

ベッドの足に縛ったら大丈夫かな?

ただ、私の体重の方がベッドより重かったら(汗)、ベッドにロープを固定してもベッドが浮いてしまって危険なことになってしまう・・・

・・・てかさ、冷静に考えて

私はアクション俳優みたいにロープを伝って3階の高さから無事に地上に着地できるのか?

うん、無理!(即答)

筋力が全くないのに(腕立て伏せすら、まともにできません)、もう作戦①と②で、かなりの体力を消耗していてヘトヘトです(涙)

この作戦だと、無傷で脱出できる可能性はかなり低いとの判断が下りました。

作戦③、実行前に脳内で終了です。

 

作戦その④

窓から助けを呼んでみる。

まあ、これが一番いい方法だと誰でも思うところですよね。

でもね・・・外は薄暗くなり、雨が降り雷が鳴っています。

私のいる寝室は人通りがないアパートの裏側に面しており、同じアパートの住人の姿は全く見当たりません(涙)

夜なので、ほとんどの住人は家に帰ってきている時間だとは思うのですが、雨が降っているので、みんな窓を閉めていて(開けてるのは私だけ・涙)、大声で助けを呼んでも声は全く届いていないようでした(実際、隣の住人には、私が叫んでいた声は全く聞こえてなかったと後で言われたし。)

唯一、この3階の部屋から人影が時折見える場所があって、それはここから50メートル先にある公共駐車場(遠い)でした。でも、雨の中なので、駐車場に来た人は足早に車に乗り込んで去っていき、私の声になかなか気づいてくれません(涙)

一時間以上(多分)、叫んでいたのですが、外は暗くなり声もカラカラに(涙)

・・・もう、明日の朝まで体力温存してじっとしとこうかとも思えてきました。

喉の渇きは限界、明日の朝まで待っていても、声が出ないかも(涙)


とりあえず、あきらめず叫び続けていたら、雨が小降りになった瞬間に駐車場と近所の家の人、2人ほど、私の助けを求める声に気が付いて、立ち止まってくれたんです・・・!!

ただ、私が英語で状況説明をすると、途端に

英語わかんないから、ごめん!」みたいなこと言われて立ち去られました。

(えええ、行かないでぇえ!)

ここにきて、「イタリア語ができない」という痛恨のミス!!

私、イタリアに住んでもう何年もなるんですけど、

清々しいほどに、

イタリア語ができません!(きっぱり)

…だってね、今まで必要なかったんだもの(言い訳)

話せたらいいとは思うんですが、「英語と携帯(夫に助けを求める)」で今までなんとかなってきたんですよ(英語使える人もそこそこいたりするしね。)

はい、ここにきて初めて

「イタリア語を勉強しておけばよかった」

と心の底から激しく後悔しました(涙)

 

ではどうやって、助けを呼んでいたかと言うと・・・

ホントたまたまなんですが、イタリア語の「アユート!(AIUTO」(助けて)という言葉を知っていたからなんです(驚)

この単語、子供の見るアニメ番組(ペッパーピグ)でよく聞こえてくるので、自然と覚えてたんですよね(笑)

ちなみに、宮崎駿映画作品の「紅の豚」に登場してくる空賊団の名前が

マンマユート・MAMMA AIUTO」(ママ・助けて)(笑)

宮崎監督、おちゃめなネーミングセンスあるなと思った次第です。

 

さて、

この時、一番使えるイタリア語「アユート!」と連呼してたら、なんとか2人が気が付いてくれたんです(やったー!)

でもね・・・

その後の状況説明がうまくできず

・・・去られたんですよ(涙)

まあ、この奇妙な「勝手に鍵が外からしまって、部屋から出れない」という理解しがたい状況を英語で説明できたとしても、英語がそこそこできる人しら「何言ってるか意味分かんね」となりそうですよね(汗)

 

でね、彼らの去り際に

「携帯で警察に連絡したら、鍵を開けてくれるよ。バイバイ」

(なんとなく意味は分かった)と言われたのには・・・泣いたね(愕)

うん、その携帯がここにないから、誰も助けを呼べなくて困ってるって話なんですけど(爆)

きっと彼らの目には、「変なアジア人が窓から叫んでた」と映ったんだろうな(涙)

 

雨と雷は続いているし、喉はもう叫びすぎてカラカラ。

夜はどんどん更けていき、さらに人を見つけるのが難しくなっていきます。

もう今が何時なのかもわからなくなってきました。

時間と共に状況はさらに悪化していきます。

続く

20210819